コロナ時代のイタリアの歯医者

サルデーニャ歯医者 サルデーニャの日常

今週の月曜日、5月18日から、また新たな段階的規制解除に入ったイタリア。
移動のための自己宣誓書の携帯が必要ではなくなり、州内であれば自由に移動ができるようになった。
公共の場で大勢で集まったりしなければ、友人にも会えるようになった。
海へ行っても良いことになった。

5月21日からは、夏には、1日100便以上ものプライベートジェットが発着するオルビア空港のプライベートジェット用の空港も開いた。
通常の航空機は今はカリアリ空港のみ。ローマ・フィウミッチーノ空港とカリアリ空港を結ぶ便が1日3便、ミラノ・マルペンサ空港とカリアリ空港を結ぶ便が1日2便。
ただし、現在のところ他州からサルデーニャへ来た人は、自主的に14日間自宅などに留まらなくてはならない。

レストラン、バールも、ソーシャルディスタンスを保ちながら開けて良いことになった。
但し、多くのレストランが様子見のためにまだ、開けていない。
法令が毎日のように変わり、席の間隔や除菌消毒方法など、違反して営業停止処分や罰金を払わされても困るということや、まだ、海外はおろかイタリア本土の旅行者も受け入れてはいけないため、開けてもそんなに儲からないというのもあると思う。
カリアリの有名なレストランのオーナーシェフのルイジ・ポマータも、テレビの取材に対して、レストランを開けるのは6月の初めになると思うと答えていた。

意外にも慎重な人が多いと感じるサルデーニャの人々。
ドライブスルーをやっていますなんて、お店が言わなくても、食料品店に電話し、車から降りずに、食料品店がもう買い物袋に詰め込んだ袋を受け取りお金を払う人々を何回も見た。
お店の人はお客さんがどこの誰かを知っているし、電話一本で勝手にドライブスルーが成り立つ。
人口2500人の小さな村だからできることでもあるし、逆に、そんな僻地の人口の密集していない村の店にも入りたくなくないという、慎重なサルデーニャの人々がいることにも驚いた。

一昨日の食事時、急に娘が歯が痛いと言って、泣き始めた。
ロックダウン前から、歯の治療中だったのだが、予約をしていた日が都合が悪くなり、キャンセルして次の予約を聞こうと思っていた矢先に、ロックダウンになってしまったため、治療が中断されていたのだ。
患者は、皆、マスクをとって口を開けなくてはならないのだから、歯医者は新型コロナウイルスの蔓延時期には、難しい仕事であると思う。
突然はじまったロックダウンだが、ちょうどロックダウンが始まった時期に、別の歯医者なのだが、予約をしていた知人が、歯医者に行ったら、患者には何も連絡せずに、休業していたという話を聞いた。
娘の通っていた歯医者も休診していたようだった。
そのため、歯医者へ連絡をとるのを先延ばししていたのだが、そのような事態になったし、もう、5月18日から美容院を含むほぼ全ての業種が営業を再開したので、もう歯医者も診療を再開しただろうと考え、予約を試みた。
まず、歯医者の携帯に電話する。やはり答えない。WhatsAppでメッセージを送ると、10日後を指定してくる。とっても痛がっているので、もう少し前にできますかと再度メッセージを送り、本日の診療となった。

娘が行っている隣町の歯医者の先生。娘はとても気に入っている。とてもデリケートで、全く痛いことをしないというのだ。
初めて娘がドキドキして行った後、娘は目をキラキラとさせて、とってもやさしくて良い先生。次の診察が楽しみなんて言い出し、毎回行くたびに、すっかり満足している。
私も、歯のクリーニングとチェックをしてもらったが、確かに全く痛くなかった。
予約時間の15分前に着いてしまったのだが、呼び鈴を鳴らすとドアのカギをあけてくれると、小さな待合室には誰もいなくてほっとした。

待合室にあった、雑誌はやはりなくなっていた。美容院などでは雑誌はおいてはいけないこととイタリア政府が通達を出していた。
そのかわり、テレビのモニターは、新型コロナウイルス期間中の歯医者における注意事項のビデオを流していた。
診療室の奥ではガサゴソと音がしていたので、他の患者さんがいるのかなと思っていると、いきなり診察室のドアがあき、おでこで体温を測る体温計と殺菌ジェルを持って、頭にもヘアキャップをして、完全防備の先生が現れ、娘は体温を測られ、手を除菌してからの治療となった。
娘の治療が終わってから、先生に新型コロナ時代の診療方法について聞いてみた。
一人の患者の診療が終わると、すべてを殺菌除菌する。待合室も空気の入れ替えをする。そのため、患者と患者の予約の時間の幅を以前より多くとっている。
つまり、クリニックには、一人の患者(娘のように親が同伴しなければならない場合は、家族だけ)だけが、いられるようにする。
そのため、次回は駐車場に着いたら電話してねと言われた。1日に受け入れる患者数を減らし、ここまでされていると非常に安心感がある。

ところで、イタリアの歯医者制度は、日本と比べると高額。
内科や外科など、歯科以外の検査は、公的な制度を使うものとプライベートなものと2種類の方法がある。
公的な方法をとれば、数か月という単位で予約を待たなければならないが、30ユーロから50ユーロくらいで検査を受けることができる。
プライベートな方法であれば、予約をしてから数日で、検査を受けることができるが、検査内容にもよるが、とても高額だ。
待てないような場合は、プライベートな方法を用いるが、待っても良い検査であれば、公的な方法を使う。
しかし、歯科に関しては、公的な方法というのがほぼなく、イタリア人は皆、プライベートな方法でやっていると思う。
診療代が高額なため、娘の小学校の先生は、クロアチアまで、バカンスも兼ねて歯の治療に行っていたくらいだ。
そして、常に治療は長引き、毎年復活祭の休暇の前後にクロアチアへ治療へ行っていたが、やはり先生がいない期間が1か月もあったりした。

その後、大型スーパーで食料品などの買い物をしたが、やはり皆マスクをしてソーシャルディスタンスを保っている。
いつもより人は少なく感じるが、ずっと家にいて、オンライン授業や、学校の友達とも電話やメッセージで連絡を取り合っている娘は、久しぶりに、知らない他の人と同じ空間にいるのを怖がって、早く帰ろう、早く帰ろうと言う。
昨日まで3日間雨でどんよりしていたが、今日からは快晴。気温も25度くらいある。
村へ戻ると、以前よりは少しは間隔があいているような気もする、バールの外のテーブル席でビールを飲みながら談笑しているオッサンたち多数。
そのなかには、娘の中学のこわーい数学の先生のいつもの姿も。
とても慎重な人と、あまり気にしていない風な人。
この先どうなっていくのだろう。とにかく自衛していくしかない。

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