ジャコモ・タキスとサルデーニャ

タキス サルデーニャワイン

タキスを知ってるかい?

ワイナリーの建築基準を学ぶ授業のなかで、その初老の上品な教授は、まっすぐに私の方を見て言った。
人生経験豊富な先生は、しばしば、授業の内容から脱線し、色々なことを話してくれて、その内容は、
真摯に人生を歩んできた経験からくる興味ある内容のことが多かった。
恥ずかしながら、その時、私はイタリアで最も有名なエノロゴ(醸造家)の名前を知らなかった。

その授業には、醸造学を学ぶ20人くらいの生徒がいただろうか。
大体が、20才前後の若者たちだ。
彼らもまた、誰一人として、その名前を知らなかった。
ジャコモ・タキス Giacomo Tachis ノートにその名を記した。

ジャコモ・タキス氏は、あのサッシカイアを生み出し、スーパータスカンの父と言われ、また、特にサルデーニャにも関心を寄せたエノロゴだ。
惜しくも、今年の2月に82才でその生涯を閉じている。

そんなタキスのサルデーニャとトスカーナのワインの試飲会があると聞いた時から、是非参加したいと思っていた。

試飲したのは、サルデーニャのワイン3種類とトスカーナのワイン3種類。

サルデーニャ

サルデーニャ

テッレ・ブルーネ Terre Brune 2012  カリニャーノ 95% ボヴァレ 5%
カンティーナ・サンターディ Cantina Santadi

カンティーナ・サンターディとタキス氏のつながりは、80年代にさかのぼる。
カンティーナ・サンターディのアントネッロ・ピローニ氏がタキス氏にコンサルタントを依頼したのが始まり。
テッレ・ブルーネは、タキス氏が好んだブドウ品種の一つであるカリニャーノ種から作られ、そして、タキス氏の勧めにより、はじめてサルデーニャでバリックを用いて醸造されたワイン。

トゥリーガ Turriga 2012 カンノナウ 85% ボヴァレ 5% カリニャーノ 5% マルヴァジア・ネーラ 5%
アルジオラス Argiolas

サルデーニャの土着品種のブレンドから、タキス氏とともに作られたトゥリーガが、サルデーニャで最も有名な赤ワインであることに異論の余地はないだろう。
そのトゥリーガを生産するアルジオラスは、タキス氏がコンサルタントを始める前までは、はかり売りのワイン、ヴィーノ・スフーゾしか作っていなかったという。

バッルーア Barrua 2102  カリニャーノ 85% カベルネ・ソービニヨン 10% メルロー 5%
アグリーコラ・プ二カ Agricola Punica

タキス氏は無数のワイナリーのコンサルタントを務めたが、そのなかでもサルデーニャに多大な関心を寄せた。
それは、2002年に170ヘクタールの土地を手に入れ、ジャコモ・タキス氏、テヌータ・サン・グイード、カンティーナ・サンターディのジョイント・ベンチャーとなるアグリコラ・プ二カの設立へと至った。

トスカーナ

ティニャネロ Tignanello 2013  サンジョヴェーゼ 80% カベルネ・ソーヴィニョン 15% カベルネ・フラン 5%
アンティノーリ Antinori
サッシカイア Sassicaia 2013  カベルネ・ソーヴィニョン 85% カベルネ・フラン 15%
テヌータ・サン・グイード Tenita San Guido
ソライア Solaia 2013  カベルネ・ソーヴィニョン 75% サンジョヴェーゼ 20% カベルネ・フラン 5%
アンティノーリ Antinori

どれも、すばらしいワインだ。
サッシカイアは、飲むのには若すぎるワインだったが、それでも十分にそのエレガントさを感じ取ることができた。

偉大なワインとタキス氏。
限られた時間の中での偉大なワインの試飲は、ちょっと慌ただしかったが、
でも、タキス氏の名前を聞くと、秋の日の暮れかかった、静かな教室のあの穏やかな教授を思い出す。

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