オルビオス Olbios は、幸福、繁栄を意味し、古代ギリシャ人が、オルビア(サルデーニャ北東部の町)につけた名前だ。その名をワイナリーにつけた、テヌーテ・オルビオス Tenute Olbios は、オルビア中心部から車で10分ちょっとの距離に位置する。
近くに、紀元前19世紀にさかのぼる遺跡があり、その遺跡を訪れた際に、ワイナリーの前を通り、こんな歴史のある場所の近くに、あのガラスの栓のオルビオスがあるのだと思っていた。
オルビオスは、白ワインとロゼワインには、ワインの栓にコルクではなく、ガラスを用いている。
不必要な酸化やコルクの微細な香りからワインを守るためだ。
コルクの産地であるサルデーニャでガラスの栓を用いるのは、勇気のいることだったと推測れるが、ワインに与えるエレガンスな印象は、オルビオスの女性経営者、ダニエーラ・ピンナならではのものと思う。
そのワイナリー、テヌーテ・オルビオスで、友人のアレッサンドラがこの夏から働き始めたので、ワイナリーの見学に招待していただいた。
門は閉ざされているので、インターフォンを押し、門を開けてもらう。
アレッサンドラが笑顔で迎え入れてくれた。
写真で見ていた印象よりはるかに温かみがあるカンティーナ。
オルビオスは、2003年にダニーラ・ピンナによって設立されたが、ブドウ畑は彼女の父親が40年ほど前にはじめた。
内部のインテリアはモダンだが、スタッツォ stazzo と呼ばれるガッルーラ地方の田舎にある建物は、およそ100年前にダニエーラの祖父によって建てられたもの。壁には、ガッルーラ地方特産の花崗岩が使われている。
外観は可愛らしいが、内部は広く、そして、60ヘクタールものブドウ畑を有する。
試飲のできる部屋からは、若いブドウ畑が見える。
新しいブドウ畑は、苗木を他から購入するのではなく、オルビオスの古い畑のブドウの木から接ぎ木をしている。
今回、試飲したのは、ロゼと白ワインを2種類。
ロゼ: Cavè カヴェ Rosé dei Colli del Limbara IGT
白: Lupus in Fabula ループス・イン・ファーブラ Vermentino di Gallura Superiore DOCG
白: In Vino Veritas イン・ヴィーノ・ヴェリタス Vermentino di Sardegna DOC
Cavè 2015 カヴェ Rosé dei Colli del Limbara IGT
非常に濃い色のロゼワインは、夕方に収穫し、低温で8時間マセラシオンするため得られるもの。
ざくろ、すぐり、フランボアーズの香りが心地よい。
Lupus in Fabula 2015 ループス・イン・ファーブラ Vermentino di Gallura Superiore DOCG
りんごや洋ナシのフルーティな香りとミネラル感のバランスがすばらしい、キリリとした白。海に近いため、海風が独特のうまみを与える。余韻も長い。
サルデーニャ特有のマエストラーレが吹く秋に、すばらしい景色とインテリアのなかで、ソムリエでもある聡明なアレッサンドラの説明を聞きながら、このようなヴェルメンティーノを味わうのはゆったりとしたひとときです。
In Vino Veritas 2007 イン・ヴィーノ・ヴェリタス Vermentino di Sardegna DOC
熟成期間が、30カ月と長いため、乾燥アプリコットや、アーモンドなどの香りと濃い麦わら色をもつ。
全体の5%のヴェルメンティーノをバリックで熟成させ、ステンレスタンクで熟成させたヴェルメンティーノと合わせてから瓶詰する。
そのほかに、瓶内2次発酵のクラシック方式でヴェルメンティーノから作られるスプマンテと赤ワインも作られている。
スプマンテ、Bisso ビッソは、カンティーナを作る際にその場から出てきた大きな花崗岩の岩を壁の一部として利用されているカンティーナで静かに熟成を待つ。
オルビオスから車で5分ほどのところには、ヌラーゲ時代につくられた、トンバ・デイ・ジガンティ(巨人の墓)ス・モンテ・エ・サーペ Tomba dei Giganti Su Monte e S’Ape と、道を走っていると遠くからもその塔がよく見える 1200年代の城塞跡 カステッロ・ディ・ぺドレス Castello di Pedres があります。ワイナリー訪問と合わせて、行かれることをおすすめいたします。