ソラマメ城

カステッロデッラファーヴァ サルデーニャの遺跡

サルデーニャ州に6つある「イタリアの最も美しい村」協会に認定されている村の一つであるポサーダ村に、「ソラマメ」城(カステッロ・デッラ・ファーヴァ)という変わった名前の中世の城が残されている。

ソラマメとは、あの空豆である。サルデーニャ島でもソラマメは栽培され食され、色々なレシピがある。乾燥ソラマメやオイル漬けにもされ、保存食としても用いられる。

ソラマメレシピ
頂き物の手作りのソラマメのオリーブオイル漬け。とってもおいしかった!

猛暑日が続いた2021年のサルデーニャの夏も、9月になったとたんに雨が降り、暑さがやわらいで秋の気配を感じてきた。
2021年のサルデーニャ島は、7月、8月と本当に暑く、とてもではないが、海以外の場所へ日中行こうというという気にはなれないほどだった。

9月に入り、ほっと一息ついたところで、前から行ってみたいと思っていた、サルデーニャ島北東部の海沿いの小さな村にあるソラマメ城(カステッロ・デッラ・ファーヴァ)へ行ってみた。

ソラマメ城があるのは、サルデーニャ島北東部の町、オルビアから南下すること、およそ45kmほどの海沿いのポサーダ村の小高い丘の上。国道131号からも塔が見える。また、ポサーダ村は、サルデーニャ州に6つあるイタリアの最も美しい村 I borghi più belli d’Italia のうちの1つでもある。

正確な年月はわかっていが、ソラマメ城は、ピサのヴィスコンティ家によって12世紀に建てられたとされている。

ソラマメ城という変わった名前の起源は定かではないが、1275年の地図、カルタピザーナ Carta Pisana に記載されているため、1200年代の初めころには建てられていたと考えられている。

サルデーニャ島が4つの独立王国に分かれていた時代には、ソラマメ城はガッルーラ王国とアルボレア王国の王たちの住まいでもあった。エレオノーラ女王も逗留したと考えられている。石灰岩質の丘の頂に建てられた城は、海および陸からの敵の侵入をコントロールするのに都合がよかった。

1324年にアラゴンがサルデーニャ島を占拠した時にソラマメ城も一時期アラゴンの手に渡ったが、その後14世紀のアラゴンとの長い戦争の間、アルボレア王国のジューディチェたちの管理下にあった。
15世紀から18世紀にかけては封建領主の所有であり、サラセン人の襲撃に備えて要塞化されていた。

城の上へ行くためには最後にこんなはしごを登る。かなりドキドキ。

「イタリアの最も美しい村協会」認定の村でもあるため、ソラマメ城へ登っていくポサーダ村は、可愛らしい村ではあるが、そんなに観光化されてはいない。

イタリアの最も美しい村 ポサーダ

イタリアの小さな村
カラフルな家も多い

サルデーニャの小さな村

ソラマメ城に行った後、アペリティーヴォを一緒にしてちょっとおしゃべりしたポサーダ出身の知人は、もっと観光に力を入れるべきだと言っていたが、サルデーニャではなかなか上手くいかない。私が行ったときは、小さなお土産物やさんんが2軒とバール兼食堂があるのみ。ドイツ人などの観光客が次から次へと城に登ってきていたが、ジェラート屋の一軒もないので、城の麓の村に旅行者は留まらない。「イタリアの最も美しい村」協会に認定されている村なのに、とも思うが、あまり観光化され過ぎているとげんなりしてしまうので、小さな村の現実が残っているぐらいがサルデーニャらしくていいかなとも思う。

ポサーダ
城の麓にある小さな教会 Nostra Signora del Soccorso (16-17世紀)

でも、このソラマメ城から車で5分もかからない場所には、まあまあ美しいビーチがあり、私たちもその後、ビーチへ行ったので、海にいくついでに燦燦と照り付ける太陽の明るい中世の雰囲気をちょっと味わうのも悪くはないと思う。そして、このソラマメ城からの眺めは絶景とまではいかないけれども、美しい。ここが中世の時代に要塞として建てられたのがよくわかる。

ソラマメ城

ポサーダ 城からの眺め
ソラマメ城からの眺め

「ソラマメ」城の名前の由来には、こんな伝説が言い伝えられている。
サラセン人の艦隊がポサーダを襲い、ポサーダの住民を飢えと衰弱により征服しようとした。実際にもう食料は尽き果てており、僅かに残っていたソラマメを1羽の鳩に食べさせたが、ソラマメを食べたその鳩は、敵であるサラセン人の野営地にうち落された。そしてサラセン人は、鳩のお腹にたくさんのソラマメを見つけたため、籠城しているポサーダの住民には食料が豊富に残っていると勘違いし、勝ち目はないとポサーダを襲うことを思いとどまったという。この逸話から、”ソラマメ”城と呼ばれるようになったと言い伝えられている。
しかし、この伝説は事実とそんなに違わないのではないかと考えられている。というのも、海からもよく目立つこのポサーダの城は、サラセン人の海賊にたびたび襲撃されたからだ。

カステッロデッラファーヴァ
城の上から降りるときの方がドキドキ

ソラマメ城から降りて、ポサーダ村から車で5分もかからないところにいくつかビーチがある。このあたりのビーチはだだっ広く、個人的にはあまり好みのビーチではないが、砂浜の砂は少しザラザラとしてやや大きめなため、足についてもすぐに落ちるという利点もある。

ポサーダビーチ
Su Tiriarzu ビーチ。9月のビーチはゆったりしている。
サルデーニャの海

Su Tiriarzu ビーチ。この日はやや波があったのにもかかわらず、海水は水色で透明できれい。魚も泳いでいた。9月のサルデーニャ島は天気が悪い日もあるので、サルデーニャ島への旅行がビーチだけが目的であればおすすめはできないけれども、お天気にさえ恵まれれば、人は少なく、海水温も高いので、ゆったりと過ごすことができる。

海でひと泳ぎした後、海沿いのサンジョヴァンニの塔の近くのレストランでお昼ごはんを食べた。サルデーニャ島の沿岸部には、スペイン時代の塔が多く残っている。このサンジョヴァンニの塔は1591年に建設。9月に入ったし、ランチだしと、予約せずに行ったら13時前だったにもかかわらず最後のテーブルで満席だった。こんなに混んでいるのだからと期待したが、味は可もなく不可もなく。

サルデーニャ レストラン
ポサーダ レストラン

サルデーニャ スペイン時代の塔
サンジョヴァンニの塔(1591年)

ソラマメ城(カステッロデッラファーヴァ):

入場料3ユーロ(2021年)、秋冬は土日の午前以外は閉まっているとチケットを売っていたお姉さんは言っていました。

この辺りの海沿いのレストランは夏の間のみ営業のところがほとんどなので、シーズンオフに行かれる方はご注意下さい。

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