今日で長かったような3週間のレッドゾーン(ロックダウン)がサルデーニャ州で終わる。1週間前からは、イタリアのほとんどの州では、特に、新型コロナ発生当初から激震地帯だったロンバルディア州で、規制の緩いイエローゾーンへ変わったのに対して、サルデーニャ州は、4月26日からの1週間は、イタリアで唯一のレッドゾーンの州となってしまったのだ。3月の初めにイタリアで初めてそして唯一のホワイトゾーンを3週間経験したサルデーニャ州が、3週間のレッドゾーンになってしまったと各新聞は書き立てた。
現在イタリアは、州ごとに色分けをして、移動の自由や店舗を開けることを制限している。赤、オレンジ、黄色、白の順に規制が緩くなる。赤のレッドゾーンは基本的には自宅から出てはいけないロックダウンなのだが、仕事、健康上の理由、必要不可欠な事柄など、例外もあり、2020年の春のロックダウンほどは厳しくなく、ゆるゆるのロックダウンだ。
しかも、現在はイエローゾーンの数値なのにデータが古いため、レッドゾーンだなんていう話もあり、警察もそんなにはコントロールしていないように感じた。昨日はメーデーで、例年だとサルデーニャの人々は、みんなで集まってフェスタをする。このレッドゾーンの最中なのに田舎の家でするフェスタに誘われたが、私は行かなかった。レストランやバールは閉まっているから、みんなこっそりと、田舎の家でフェスタをしている。もちろん、レッドゾーンでは、誰の家も訪問してはいけない。自分の親の家でさえも行ってはいけなく、見つかると400ユーロ(およそ5万円)の罰金だ。でも、近所の家の人々は、どこかへ外出しているらしく、雨戸をきっちりと閉めている家もたくさんある。感染拡大しませんようにと祈るばかりである。
明日、5月3日からサルデーニャ州はオレンジゾーンになるのだが、レッドとオレンジはそんなには変わらない。私は、人口5千人以下の小さな村に住んでいるので、オレンジゾーンになると、30kmまでなら、近隣のコムーネ(自治体)へ行っても良いということと、誰かの家を2名までならば訪問可能ということが変わることであるが、レストラン、バールなどの営業は持ち帰りや宅配のみである。
レッドゾーンになる前なのだが、ソムリエの友人宅にお茶に呼ばれて、でもその後、友人のエノロゴ(醸造家)のロベルトもやってきて、彼がエノロゴとして関わることになった新しいワイナリーのワインを試飲することになった。
ロベルトはマゾネ・マンヌのエノロゴとして、マゾネマンヌで初めてガンベロロッソのトレビッキエーリに導き、その後、マゾネ・マンヌのエノロゴを辞めた後、モンティの タンカ・レイーナ へ移り、また、ドルガーリのカンティーナ・ベッリッタでもエノロゴとして監修にあたったりしている。そして、最近、オンラインワインマガジンなどで、新しいカンティーナ、ラ・コントラルタ La Contralta立ち上げのエノロゴとしての記事を読んだばかりだった。
当のエノロゴを前にして、このワインについてサワコ、どう思う?と聞かれて答えるのは、かなり難儀だ。
しかし、グラスに注がれたヴェルメンティーノ、フィオーレ・ディ・サッソ Fiore del sassoの香りを嗅いだとたんに、笑みがこぼれてしまった。こういう香りの白ワインをいつも探している。ワインを買うときに、ワインの香りや味わいというところをじっくりと読み、このような香りや味わいだといいなと期待して購入しても、さっぱりとその香りや味わいを見つけられないことが多い。
いつも、こういう香りの白ワインを探しているんだけれでも、なかなか見つからないの。でも、これは正に、私が探している理想の香り、とエノロゴに伝える。良く熟した梨や桃、花、バニラ、アスフォデロのハチミツ、焼きあがったばかりのパンなどの強い香り。
そして、1口、口に含むと、たっぷりとしたミネラルと果実味のバランスがよく、長い余韻。
次に、赤のカンノナウ、 ロラ・グランデ L’Ora Grande にすすむ。赤は、私がいつも探している香りや味わいではなかった。ちょっと違う、とロベルトに伝えるとがっかりした表情になってしまったが、友人のソムリエも私と同意見のようで、そうだよねと頷く。でも、これは私の個人的な感想。ワインの奥の部分には、得体のしれない力強さを感じた。