もう先月のことなのだが、ワイン好きの友人が、ドイツのモーゼルへワイナリー巡りに行って、色々ワインを買ってきたから、みんなでそのワインを飲む会というのによんでくれた。場所は、タヴォラーラ島 Tavolara が目の前にみえる、ビーチが目の前のレストランバール。シェフは、奇才、ピエロ・カレッドゥ。
この場所だけでも、気分は高まります。
メンバーは、いつものように、マゾネマンヌ Masone Mannu のエノロゴのロベルト、ムーラ Mura のオーナーでありエノロゴのマリアンナ、スラウ SURRAU のエノロゴのマリオ、そして、ソムリエ5人という強力なメンバーを含む総勢12人でテーブルを囲んだ。みんなワインに関しては、ひとクセもふたクセもあるメンバーばかり。
モーゼルのブドウ畑やワイナリーの話を聞きつつ、美味しいリースリングを堪能したあと、スラウ SURRAU のマリオが、おもむろに、シャーラ SCIALA を開け始めた。このようなワイン会をするときは、エノロゴは自分の手がけたワインを手土産に持ってくることも多い。
SCIALA は、ポルトチェルボ Porto Cervo のワイナリー、SURRAU のフラッグシップワインだから、幾度となく飲んでいるので、(失礼ながら)ああ、シャーラね、と心の中で思ったのもつかの間、グラスに鼻を近づけたとたん、ウワッ、思わず小さく叫んでしまった。
これがあのシャーラ?
マッキアメディテラーネオ(地中海に自生する灌木)、花、フルーツの見事なバランスの濃厚な香り、トロリとヴェルメンティーノが喉に落ちたあとは、長い長い余韻。
ここ数年、ガンベロロッソのトレビッキエーリの常連なのにもかかわらず、私の中では、良いワインだけれども、トレビッキエーリに値するほどのすごさを見つけられないでいたのが、良い意味で裏切られた。
マリオ曰く、彼が SURRAU で働き始めて初めて手掛けた年のワインなので、家にとっておいてあったのを持ってきたもので、もうカンティーナにも在庫はないのだそう。
白ワインのヴェルメンティーノは早飲みのワインと言われているけれども、最近は長期熟成に向くヴェルメンティーノも、この夜のメンバーのような若きエノロゴたちが作り始めている。
また、スラウ SURRAU は、コスタズメラルダ(エメラルド海岸)から、ほんの数キロ内陸部に入った場所にあるの訪れる価値のある美しいワイナリー。また、ほとんどのワイナリーが閉まっている日曜日も開いていることもありがたい。
一期一会。6月のまだシーズン初めの静かな夏の夜の海辺で、ワイン好きの友人たちと、ちょうどよい飲み頃のキリリと冷えた上質のワインを頂けたことを感謝せずにはいられない。