ズッパガッルレーゼとコンソルツィオ・サン・ミケーレ

サルジニアワイン サルデーニャの食べ物

教会は通常、町の中心にあるのだが、サルデーニャには、キエーザ・カンペストレ chiesa campestre と呼ばれる、田舎にポツンと佇む教会が数多くある。
日曜日のミサなどは行われず、普段は閉まっていることが多いが、一年に一回、盛大なお祭りをする。
多くのキエーザ・カンペストレ-田舎の教会-のお祭りのメインイベントは、みんなで一緒に食べること。
出される食事は、地元の伝統料理。
料理は、そのお祭りのためのコミッタート comitato と呼ばれるグループの人たちが作る。
料理人やシェフなどではない普通の人が何百人分の料理を作るのだが、大抵は、大鍋で作った方がおいしくできるメニューの場合が多いので、子供の頃、大鍋で作ったキャンプで食べたカレーがおいしかったように、村の料理上手な人たちが作る郷土料理は、お祭りならではのもの。

田園教会

ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラの重要な生産地でもあり、ワイン博物館もあるベルキッダ周辺にはいくつかのキエーザ・カンペストレがある。
先週末、そのうちの一つ、サンタ・カテリーナ教会でお祭りがあった。
教会のすぐ脇には、樹齢数百年といわれるオリーブの木があり、教会の周囲は、オリーブの木が茂っている。
そのオリーブの木陰に、長いテーブルとベンチが用意されていたが、今年のサルデーニャは、5月頃からぐんぐん暑くなり、もう海で泳げるほど。
この日は、ほぼ快晴で、木陰でも暑かった。

サルデーニャ

サンタ・カテリーナのお祭りのメニューは、ズッパ・ベルキッデーゼ zuppa berchiddese と、羊肉の煮込み bollito di pecora。
ズッパベルキッデーゼは、ベルキッダ村のズッパという意味で、ガッルーラ地方の郷土料理、ズッパ・ガルレーゼのベルキッダ村バージョン。
ズッパは、スープ類や、パンなどをしみ込ませた料理を意味し、ガッルーラ地方でズッパというと、ズッパ・ガルレーゼのことを指す。
ズッパガッルレーゼは、ガッルーラ地方のズッパという意味で、ガッルーラ地方の伝統料理なのだが、町や村によって少しずつレシピが違う。
もちろんサルデーニャのガッルーラ地方の人々は、自分の村のズッパが一番おいしく、正統なものだと信じて疑わず、自信を持って言い張る。

ズッパガルレーゼ

ズッパ・ガルレーゼの主な材料は、パン、チーズ、肉のブロード。

ズッパガルレーゼ

使うパンも町によって違い、ベルキッダでは、パーネ・フィーネと呼ばれるやや日持ちのする薄いパンを用いて、スーゴ(トマトソースのラグー)を加える。

サルデーニャのパン

パーネ・フィーネ pane fine

プリモピアットのズッパで使われたブロードのお肉がそのまま、セコンドとなるのだが、口の中でとろけるほど柔らかく、羊肉の臭みもない。
出てくるワインは、自家製ワインで、自分の家で消費するために作られた、ハウスワイン。

イタリアン

お祭りの昼食には、何百人の人がいただろうか。
ズッパが出てきたのが、2時過ぎ。セコンドのお肉が出てきたのが、3時過ぎと、午後中、食べ続けていることになるが、私たちは午後、近くのワイナリー、コンソルツィオ・サン・ミケーレ consorzio san michele を訪問することになっていたので、デザートのケーキをもらってから、早々にキエーザ・カンペストレを後にした。

ワインツアー

コンソルツィオサンミケーレの近くにも、サン・ミケーレ教会という、やはり田舎の教会(キエーザ・カンペストレ)があり、ワイナリーの名前はその教会に由来する。
サン・ミケーレ教会のあたりは、昼間は暑いが、夜には涼しい風が吹くため、昼夜の温度差が大きく、ブドウ栽培に適しているミクロクリマ(微気候)をもつ。
確かに、木陰でもとても暑かった、サン・カテリーナ教会から車で5分くらいの場所なのに、こちらは爽やかな風が吹いている。

ヴェルメンティーノ

コンソルツィオ・サン・ミケーレ consorzio san michele では、3種類のヴェルメンティーノ、白ワインのみを生産している。初リリースが2013年と若いワイナリーだが、数年前に初めてコンソルツィオ・サン・ミケーレのヴェルメンティーノを飲んだ時は、そのミネラル感とみずみずしさに驚いた記憶がある。

きらきら光る太陽の初夏の午後に、ブドウ畑とオリーブ畑に囲まれた静かな田舎で、爽やかな風を感じながら頂くワインは、その印象をあらためて深くした。

サルデーニャワイン

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