ネッビオーロは、赤ワインのブドウ品種のなかでも、最も偉大な品種の一つであるとされています。
イタリアを代表するワイン、バローロは、ネッビオーロから作られます。
そのブドウ品種、ネッビオーロがサルデーニャでも栽培されているのです。
栽培面積は、わずか50ヘクタール。
サルデーニャのネッビオーロと、ピエモンテのネッビオーロを飲み比べるテイスティングのイベントが、アルバ醸造学校、トリノ大学、サッサリ大学の教授である、マルコ・リッソーネ教授 Prof. Marco Rissone のガイドのもと行われるというので、ガッルーラ地方の小さな町、ルーラス Luras へ行ってきました。
サルデーニャのネッビオーロは、サルデーニャ北東部、ルーラスの近辺のみで栽培されています。
最初にこのテイスティングの案内を見たとき、ネッビオーロ nebbiolo が、nebiolo と書かれている。b が一つ足りない。
ミスプリかと思ったのだが、そうではなく、サルデーニャのネッビオーロは、b が1つのネビオーロで正しいのだそうだ。
ただし、ワイナリーによっては、b を2つつけているところもある。
このことは、ネッビオーロがピエモンテからサルデーニャに持ち込まれたときに、間違えられた訳ではなく、ピエモンテのネッビオーロも昔は、b が1つだったからとされる。
ピエモンテからサルデーニャへネッビオーロが持ち込まれたのは、18世紀半ば。
トリノ出身の政治家であり軍人の アルフォンソ・ラ・マルモラ Alfonso La Marmora が持ち込んだ。
ラ・マルモラは、ガッルーラ地方を気に入り、もともと、上質のヴェルメンティーノやモスカートを栽培していたルーラスであるが、標高400~500メートル、花崗岩質ー粘土質の丘陵地帯が、ピエモンテのネッビオーロを栽培するのに適している土地であると直観した。
ところで、テイスティング。
会場となったのは、ルーラスの小学校。
予約時に、12本のネッビオーロをテイスティングしなければならないから、16時きっかりに来てね、と言われたのに、やはり16時には始まりません。
想像していた以上の参加者。そして、12本ではなくて、16本ものネッビオーロをテイスティングすることに・・。
でも、最初のネッビオーロに、ガツンとやられました。
通常ネッビオーロは、赤ワインにするところを白ワインに醸造した、ガッルーラの奇才、カンティーナ・デッペール Cantina Depperu のディニュ DIGNU。
そういえば、この冬、カンティーナ・デッペールを訪れたときに、ネッビオーロを白ワインに醸造するんだ、とデッペール氏が言っていたことを思い出しました。
色は限りなく白く、水のような色なのに、デリケートな花やフルーツの香りがめまいをおこしそうなくらい。心地よい世界に惹きこまれます。カンティーナ・デッペール Cantina Depperu の赤、TIU PAOLO も華やかな花の香りとともに深い味わい。
以前、サルデーニャのネッビオーロを飲んだ時は、あまり良い印象がなかったけれども、カンティーナ・ガッルーラ Cantina Gallura やカンティーナ・トンディーニ Cantina Tondini、カンティーナ・ファラ-ダス Cantina Faladas のネッビオーロもなかなか美味しかったです。
ルーラスの人は、ルーラスのネッビオーロをとても誇りに思っている。
それは、サルデーニャのネッビオーロを広めたり、セミナーやイベントを開催するなどの活動の中心となっているのが、コンフラテルニタ confraternita と呼ばれるカトリックの信心会であることからもうかがい知ることができます。