コンティニ Contini

ヴェルナッチャ サルデーニャワインツアー

サルデーニャの希少品種ヴェルナッチャから作られる非常に特殊なワイン、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを作るワイナリーは数多くない。
その中でも、コンティニ Contini は、老舗中の老舗。
1898年にサルヴァトーレ・コンティニ氏が設立したコンティニは、当初は、この地方の土着品種、ヴェルナッチャとニエッデーラのみを栽培していた。
ニエッデーラは、この地方の方言で、ネーロ(黒)という意味で、赤ワインを意味する。
ヴェルナッチャはサルデーニャの最も古いブドウ品種であり、フェニキア人の時代から栽培されていたとされる。
「ヴェルナッチャ」の語源は、「ブドウを栽培する土地」を意味することから、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノなど、他のイタリアの地方のヴェルナッチャとは違う品種である。
そして、ヴェルナッチャから作られるワイン、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノは、木樽を満タンにせず、空気と触れさせながら醸造させるため、フロールと呼ばれる薄い酵母膜が表面にでき、ワインを守るとともに、独特の風味を与える。

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノDOCの生産規定は、最低29カ月の熟成が必要なのだが、コンティニでは、10年間熟成させる。
そして、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノDOCリゼルヴァの生産規定は、最低53カ月の熟成が必要なのだが、コンティニでは、20年間熟成させる。
さらに、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノDOCクヴェ アンティコ・グレゴーリに至っては、1970年からの良い年のものをブレンドする。
ブドウを収穫してから、販売するまでに長い期間をかけるため、相当の決意と忍耐と資本がないと本当のヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを作り続けることは難しい。

シェリー酒のような独特の香り、味わい、そして、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを作るのには、長い年月が必要なため、作り手は減っていき、忘れ去られた過去のワインへとなっていきつつある。そのようななかで、コンティニだけは、かたくなに伝統を守り、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノを生産し続けている。

カブラスの町はずれにあるカンティーナを訪れた。
外観は質素で思わず、「ここに全部あるのですか?」と聞いてしまったのですが (「畑以外はね。」とにこやかに対応してくれた)、奥へ進むとテイスティングができるホールがあり、さらに奥へ行くとバリッカイエがある。

カブラス

バリックが積み重なっているカンティーナに、地下に通じる上げ蓋式の降り口が見え、ここは何ですかと聞くと、本当は一般の人は入れないのだけど特別だよと、上げ蓋を上げて案内してくれた。
売り物ではなく、研究のため色々な年のワインを保存しているのだそう。

ヴェルナッチャ

さらに、ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのための貯蔵庫へと続く。
ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノのための貯蔵庫は、いわゆる、地下にあるようなカンティーナではなく、風通しのよい体育館みたいだ。

オリスターノ
このサルデーニャの風が重要なのだそうだ。
樽にワインを満タンにしないで醸造させるため、フロールと呼ばれる酵母膜ができている様子を見せるための樽。

ヴェルナッチャ

何が飲みたい?と訊ねられ、21種類ものワインを作っているので、知っているワインは割愛して、まずは、イ・ジガンティ i giganti をテイスティング。

ジガンティ

i giganti イ・ジガンティ

モンテ・プラ-マの巨人「ジガンティ」発掘から40年後にカブラスにジガンティが戻ってきたことを記念して作られたワイン。ヴェルナッチャとヴェルメンティーノから作られる。カラミスと違うのは、バリックで熟成させていること。心地よいミネラルとともに、やわらかなバランスのとれた秀逸な味わい。

モンテプラマ
ジガンティは、カブラスの博物館で見ることができる。カブラスの博物館は、小さい博物館ながら、よく整備されている。

nieddera ニエッデーラ
土着品種ニエッデーラから作られるワイン。

nieddera

barrile バッリーレ 2013
AIS vitae ヴィーテ 2016年度版で、4 Viti クワトロヴィーティ、さらに、サルデーニャ州のタスト・ヴァン受賞のワイン。
試飲させていただいたのは、2013年と若いワインだったのですが、今飲んでも十分楽しめるワインですが、10年後がさらに楽しみなワイン。

バッリーレ

vernaccia ヴェルナッチャ 2005
そして、10年間熟成させたヴェルナッチャ・ディ・オリスターノDOC。

アンティコ・グレゴーリ

antico gregori アンティコ・グレゴーリ
vernaccia di oristano DOC cuvèe
コンティニの最も有名なワインといってよいだろう。bibenda 2016年度版でも、5 グラッポリ 5 grappoli。
アンティコ・グレゴーリは、ソレラ方式で熟成させた良い年のヴェルナッチャ・ディ・オリスターノをブレンドさせている。
数十年前の年のものも含まれているという。
乾燥アプリコット、乾燥イチジク、アーモンド、はちみつ、スパイスなどの香りとともに深い味わいと非常に長い余韻。

ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノは、サルデーニャの伝統的な焼き菓子やチーズと合わせるのが定石である。
近所に住む女性が作ったというオリスターノ地方のお菓子、モスタッチョーリ mostaccioli を出してくれた。

モスタッチョーリ

簡単なワイナリーの案内ということだったけれども、色々話を伺い、気が付くと2時間近くの訪問だっただろうか。
本を読んだだけでは、あまりピンとこなかった、ソレラ方式についてもよくわかり、丁寧な対応をしてくださり興味深いワイナリー訪問となった。

ソレラ

Azienda Vinicola Attilio Contini  http://www.vinicontini.com/

その後、フェニキア人から古代ローマ人が住んだ、タロス遺跡を訪れたのだが、こちらも、シニス半島の絶景とともにすばらしい眺めを堪能できる。

タロス

タロス遺跡 http://www.tharros.sardegna.it/

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