マルヴァジア・ディ・ボーザの伝説的な生産者、ジョヴァンニ・バッティスタ・コルンブ Giovanni Battista Columbu を訪ねました。2011年のエスプレッソでは、イタリアで唯一の20点満点をとり、今年もイタリアソムリエ協会(AIS) のワインガイドvitaeでは、最高点の4 viti 。映画モンド・ヴィーノにも登場したワイナリーです。
チェントロストーリコの細い石畳を歩いていくと普通の民家に混ざって位置する、小さなカンティーナ。
数年前まで、実際に木樽を寝かせるカンティーナだった場所が、試飲などができるスペースとなっており、ヴァンナさんが色々なことを説明してくださいました。
まず、入って左手に、貝やウニの化石がならんでいます。すべて畑にあったもの。1000万年前は、沼地だったため、今でも畑を耕していると、化石がたくさん出てくるそうです。
畑はわずか、3ヘクタール。海抜120メートルの場所に位置し、年間生産量は、500mlのボトルで5千から6千本とごくわずか。
すべて手作業で収穫し、酵母は入れず、ブドウについている酵母のみで発酵させるそうです。
収穫したブドウのおよそ半分が、ステンレスタンクのみで熟成される甘口のデザートワイのalvarega、もう半分が栗の木樽で醸造させる伝統的な製法のマルヴァジア・ディ・ボーザ・リゼルヴァMalvasia di Bosa Riserva となります。
同じブドウ、同じ収穫時期なのに、醸造方法によって色、香り、味わいが全く違います。伝統的な製法のマルヴァジア・ディ・ボーザ・リゼルヴァは、木樽を満タンにせずに熟成させるため、ワインが酸素に触れ、酸化させたワインとなります。くるみやアーモンド、干しあんずなどの乾燥フルーツの香り、複雑な味わいと深く長い余韻が残ります。試飲したのは、2010年のワイン。創設者の最後の収穫となってしまったブドウから作られたワインということで思い入れが深いとヴァンナさんはおっしゃっていました。
また、創設者のジョヴァンニ・バッティスタ・コルンブ氏は、ブドウ栽培、醸造だけではなく絵を描くのも上手だったそうで、alvarega のボトルのラベルは、ボーザの人々にとって重要なお祭りであるカーニヴァルの様子を氏が描いたものだそう。
およそ1時間、じっくりとヴァンナさんの説明を聞きながら、趣のあるカンティーナで、伝説的なマルヴァジア・ディ・ボーザを頂くのは、至福のひと時。この日、ヴァンナさんが準備して下さっていたのは、マッキア・メディテラーネア‐地中海性灌木地帯に育つ海からの潮風を含んだサルデーニャ西部の手作りの羊のチーズとアスフォデッロのはちみつ。こちらも美味でした。