ヨーロッパで最初に新型コロナウイルスの甚大な被害を被ったイタリアの中で、最もコロナウイルスの蔓延が酷かった2020年の春も、感染者数が少なく、イタリアの中では安全な州だったサルデーニャ。
しかし、ロックダウンを段階的に解除して、7月からは、旅行客、バカンス客も自由にサルデーニャ島を訪れることが可能になり、最初は皆の様子を見ていたイタリア人も、7月の安定した状況をみて、 多少の不安を抱えながらも バカンスへ行っても大丈夫と、8月になると、あちらこちらへと旅行へ行く人が多くなった。
例年イタリア人のバカンスは、8月15日のフェッラゴストの祝日がピークとなる。
今年は、新型コロナウイルスのため、バカンスの出だしが遅れたため、そして、安定した天候も後押しをして、8月15日前は、サルデーニャのホテルなどもほぼ満員となった。
そして、やはり、悪い予想があったってしまった。
サルデーニャ島の各地で、バカンス客が次々に発症。
2020年、ロックダウン後のサルデーニャ島へ行くためには、でも書いたが、サルデーニャ島へ訪れるためには、サルデーニャ州のwebページからダウウンロードした所定の書式に、新型コロナウイルスの症状がないこと、新型コロナウイルスに感染した人と接触をしていないことを宣言し、どこへ宿泊するかなどを記入しなければならなかった。
しかし、空港でも、ノーチェックの状況があったり、フェリーでサルデーニャ島へ来た知人は、書式の提出どころか熱さえも測られなかったと言っていた。
イタリアは、些細なことでものすごく厳しいことや場合もあるが、どこか抜け落ちているところもある。
そのようなツケがまわってきたのか、ここ数日は感染者の数がとても多くなり、2か月間、集中治療室での入院患者がゼロだったのが、今日のニュースでは、2名が集中治療室で入院していると報道された。
その2名は、ポルト・チェルボの有名なディスコ、ビリオネアとソットヴェントの従業員。
イタリア各地でのディスコでの感染拡大を受け、ビリオネアのある、アルツァケーナの市長は、8月18日にアルツァケーナ市にあるディスコの事実上の休業を要請した。
この措置に怒った、ビリオネアの経営者、フラヴィオ・ブリアトーレ氏は、インスタグラムでアルツァケーナ市長に文句をたれ、アルツァケーナ市長もそれに反論し、メディア上で大ゲンカ。
ところが、閉鎖後にビリオネアの従業員が新型コロナウイルスに感染していたことがわかった。そのため従業員全員を検査したところ、58名もの従業員が陽性だったことがわかり、さらには、モンテカルロへ帰ったブリアトーレ氏も新型コロナウイルスに感染していて、現在、ミラノのサン・ラッファエーレ病院に入院中。
このディスコは、vipや有名人、サッカー選手が訪れる場所としても有名で、また、ブリアトーレ氏は、多くのvipと交流があるため、ブリアトーレ氏と接触したvipにも激震が走り、PCR検査を受けることとなった。
その中には、あのベルルスコーニ元首相も。8月12日に、ベルルスコーニ元首相は、ブリアトーレ氏をベルルスコーニ元首相のサルデーニャ島のポルト・ロトンドにある別荘に招待し、その際はマスクも着用していなかった。ベルルスコーニ元首相は、ブリアトーレ氏の陽性が発表された後すぐにPCR検査を行ったとのことだが、結果は陰性。このお方、やはり不死身ですね。
また、フラヴィオ・ブリアトーレ氏とポルト・チェロボのカーラ・ディ・ヴォルぺで サッカーを楽しんだ元サッカー選手で、現在はボローニャのミハイロヴィッチ監督も新型コロナウイルスで陽性となった。
ミハイロヴィッチ監督もコスタズメラルダでのバカンス中に数多くのvipとともに過ごしたとのことで、サルデーニャ島でバカンスを過ごして家に帰った人々が次々に感染していたことがわかり、7月までは、ほぼCovid Freeのコロナウイルス状況優等生のサルデーニャ島は、一転、みんなからの嫌われ者となってしまっている。
そんな中でのサルデーニャ州知事は、コロナウイルスは皆、旅行者によって外から持ち込まれたものであり、サルデーニャ島産ではないと言って、なんとか汚名を拭おうとしている。
確かにサルデーニャ島は、3月14日から5月17日までは、鎖国ならぬ鎖島状態であった。健康上の理由、仕事上の理由など、サルデーニャ州が認めた人だけが、サルデーニャ島から出入りができた。
7月19日には、サルデーニャ州内の2つの県がCovid Free、つまり、28日間、新型コロナウイルス患者がいなかったくらい新型コロナウイルスをめぐる状況は良かった。
そして、サルデーニャ州知事は、ロックダウン解除前に、サルデーニャ島へ来る人は全て、「健康パスポート」を持っている人、つまりPCR検査で陰性の人しか入らせないという計画を立てていたのが、頓挫してしまったので、あの時に自分が提案していたようにしていたら、このようなことは起こらなかったのにと言っているが、やはり後の祭り。
今週一杯は晴れの暑い日が続く予報のサルデーニャ島ですが、細心の注意が必要です。
唯一、幸運なことは、死亡者が数か月に渡ってサルデーニャ島では出ていないこと。
8月27日のサルデーニャのコロナウイルスの状況です。
サルデーニャ州では、過去24時間に1629件のPCR検査が行われ、57人の新規感染者を確認。
現在、24人が入院しており、さらに2人が集中治療室にいる。542人が自宅隔離。
一か月前の7月27日は、サルデーニャ州では、5人の入院患者、集中治療室はゼロ、10人が自宅隔離の合計15名の新型コロナウイルス感染者だったことを考えると、安全な島から一転してしまったことがお判りいただけると思う。