コロナ禍の中、先週、娘が110点満点プラス賛辞(最優秀)の成績でイタリアの大学を卒業致しました。
現在、コロナ第二波に襲われているイタリアでは、春のロックダウンを経て半年ぶりに学校が9月の新学期に再開したものの、ほんの数週間で、高校や大学はオンライン授業に切り替わったため、自宅からオンラインでの大学卒業となりました。
イタリアの大学は、3年間の学部と、法学部、建築学部、薬学部など5年間の学部、そして、医学部や歯学部など6年間を要するものと、学部により大学卒業のための年数が違います。
イタリアの大学は、3年間の学部もありますが、イタリアでは、小学校が5年間、中学校が3年間、高校が5年間なので、大学が3年間だとしても合計すると、16年間となるので、日本の4年間の大学を卒業した人とと同じ年数となります。
3年間の学部を卒業すると、ラウレア・トゥリエンナーレ、または単にラウレア、5年間と6年間の学部は、(1サイクルの)ラウレア・マジストラーレと呼ばれています。
3年間の学部は、その後に、マジストラーレという2年間のコースがあり、マジストラーレを卒業すると、ラウレア・マジストラーレとなります。
娘は、理工学部のため、3年間の大学を卒業をしましたが、引き続き、2年間のマジストラーレのラウレアのコースを続けています。マジストラーレのラウレアのコースは、10月から始まっているのですが、来年の2月までに、3年間のラウレアを卒業見込みの学生は、マジストラーレに入学することができます。
イタリアの大学卒業時期は、日本のように一斉に3月に行われるわけではなく、大学の各学部により異なり、1年間の間に、およそ4回から5回ほど卒業できる日があります。
自分の各科目の試験の状況によって、卒論の教授とも相談して、どの日に卒業するかを決めます。
卒業の日には、卒業論文の発表を数人の教授の前で行い、その卒論に対する質疑応答があります。
また、卒業成績なのですが、110点満点で、何点で卒業したかが、卒業時に言われます。
3年間の大学の場合は、180単位(CFU)が必要で、1年間におよそ6科目あり、各科目ごとに、30点満点の試験があります。
試験は、口頭試験で、オンライン授業の時も、先生と1対1で口頭試問をします。口頭試験の前に筆記試験をする先生もいます。
30点満点中18点以上が、合格点で、18点以上をとると、その科目の単位(授業時間などにより、1科目5~12CPU)を取得します。
この科目ごとの成績にも、非常に優秀な場合は、30点プラス賛辞、の点数をつける場合もあります。
卒業時に、良い点で卒業するためには、1年生からすべての科目で、良い点をとる必要があり、卒業時の点数は、履歴書などにも記入するため、イタリアの大学生はびっくりするほどよく勉強します。
1年生の時には、60人ほどの学生がいたようですが、途中で諦める学生も多く、また、自分のペースでゆっくりと勉強していく学生も多いので、最終的には、20名くらいが、およそ3年間で卒業に至ったようです。
イタリアの大学卒業と言えば、コロナダローロ corona d’alloro と呼ばれる、ローリエ(ゲッケイジュ)の葉でつくられた冠、月桂冠。
イタリアの大学の卒業写真は、この月桂冠、ローリエの冠をかぶって撮影します。
さて、この月桂冠は、どこで注文するのかと調べたら、お花屋さんで作ってくれることがわかり、近所のお花屋さんに注文。
お花屋さんのおすすめと娘の意向を合わせて、ローリエの葉をベースに、唐辛子とイペリコ(セイヨウオトギリ)の果実シンプルなものにしました。
ローリエの冠をかぶるのは、古代ギリシャや古代ローマ時代に遡るとも言われています。ローリエは、知や学問のシンボルであり、古代ギリシャ時代には、知の功労者を称えるために冠が用いられました。
唐辛子は、イタリアでは、幸運をもたらすシンボルとされています。また、イペリコ(セイヨウオトギリ)の果実は、魔除けの意味をもつのだそうです。みな縁起物なのですね。
そして、卒論。
私の大学卒業時とは時代は変わり、印刷屋さんにpdfファイルを送り、印刷してもらいました。
pdfファイルを送ったのに、表紙の記号が違っていたのですが、前日に出来上がったのでそのままに。。。
このローリエの冠を頭にのせ、卒論を持って写真撮影をするのが一般的なイタリアの大学卒業のシーンです。
本当は、一緒に卒業した友人たちと写真撮影をしたかったと思いますが、娘の友人たちも自宅でローリエの冠をつけて写真を撮ったようです。
卒業のお祝いに開けたワインは、私の住んでいる村のワイナリー、カンティーナ・デル・ヴェルメンティーノの娘の生まれ年ワイン、1997年のガラーナと、お祝いに頂いたガッバスの2014年のドゥーレ。
ガラーナは、カンティーナ・デル・ヴェルメンティーノのフラッグシップワイン。開けた直後は、23年も経っているので、閉じていましたが、30分ほどすると開いてきて、その年月を思わせないほど、柔らかく若々しい。
ドゥーレは、カンノナウの良さを最大限に引き出していて、果実味が豊富で、余韻がとても長い。両方とも抜栓して2日目の方がおいしいくらい、ポテンシャルが崩れないワインでした。
イタリアの大学について
イタリアの大学は、
1500年までに創立された大学が19校
1088年創立のボローニャ大学は、世界最古の大学として有名ですよね。
1500年から1850年までに創立された大学が9校
1850年から1920年までに創立された国立大学は5校、私立大学が2校
1920年から1940年のファシズムの時代には、5校の国立大学と2校の私立大学が創立されました。
第二次世界大戦後には、国立大学が33校、私立大学が12校、オンライン大学が11校設立されました。
このように、イタリアの大学のおよそ7割が国立大学で、学生数を考えますと、
国立大学に在学している人数は、1.495.561名
私立大学に在学している人数は、195.273名
大学全体では、1.690.834名のため、ほぼ9割近くの学生が国立大学に在学しています。
データは、2017/2018年度。USTATより。
http://ustat.miur.it/dati/didattica/italia/atenei
イタリアの大学は、学部などにより、入学試験のある学部とない学部があります。
医学部や歯学部、建築学部などは、入学試験がありますが、多くの学部では、入学試験がありません。あったとしても、生徒の学力を知るためだったりする場合もあります。
ただし、医学部などは定員を多く超える入学希望者がいるため、8月の終わりに入学試験があります。入学試験に何度も落ち、かわりに、医学部と共通の科目のある薬学部などへ入学し、次の年にまた受験したという知り合いもいます。
また、上に記した大学の他に、美術大学、音楽大学などに相当する、アカデミア・ディ・ベッレ・アルティやコンセルヴァトーレがあります。